黒島の砂利道をゆく。
太陽の鋭い光線を腕に受けながら自転車をこぐ。
一時前の通り雨で、地面からもわっと湿気が上がってくる。
挟み撃ちだ・・・
石垣や西表を除いて、
他の八重山の島には高木が少ない。
やっと木陰を見つけて、一息いれよう。
こんもりとした森の中で自転車を降りる。
その瞬間、皮膚が粟立つような感覚が走る。
周りを見渡して、全身の神経を澄ませると、
なぜだかここだけ空気の密度が濃い。
やがて森の命、木々や雑草、蝶にいたるまで、
生命が湧き立ってくるのが分かる。
クワズイモがにょきっと存在を誇示する。
今にも私を叩いてきそうだ。
御獄とはそういう気配が満ちるところ。
黒島 北神山御獄
Wide Angle Roleiflex Distagon 55mm