夏の真夜中。
酔っぱらって、寝静まった宿に帰った。
起こさないように、こそこそと布団を敷いて、寝る準備。
はぁーっと長い息を吐いて、、、古い天井を見た。
すると、、、視界を黄緑の発光体がすぅーっと横切る。
目を疑って、急速に、酔いが辺りの空気に発散していく。
暗闇に眼を凝らすと一筋の光が漂っている。
隙間だらけの古民家に蛍が舞うなんて、、、
寝付くまでありがたい気持ちで宙を眺めていた。
宙を行ったり来たりするその光、私は人の魂のように見えるのだ。
八重山で蛍といえば、ヤエヤマヒメボタルという1秒間に2・3回点滅する種が有名だ。
西表島では3~5月、石垣島では4~6月に見られる。
日が落ちて残照も弱くなる頃、たった30分だけ開かれる求婚の宴。
Rolleiflex3.5F Planar
新たな命のために、光を振り絞る。
切なくも、その光は生。
私が宿で驚いた蛍はオオシママドボタルという通年見られる、光跡も長い種類である。