<   2009年 01月 ( 18 )   > この月の画像一覧

2009年 01月 12日
シュール
私が初めて波照間に行った時の印象は、
一言で言えばシュール。
真のシュールという意味からはずれるかもしれない。
八重山の中で、ここだけの感覚。
それが私が波照間を愛する理由のひとつ。

f0182432_19364299.jpg


Rollieflex3.5F Xenotar

見えない大きな手が、組み上げたんじゃないか。
まるで舞台をみているかのよう。
[PR]

by jazz_houser | 2009-01-12 19:37 | 波照間島 | Comments(0)
2009年 01月 12日
楽園
今でも思い出してしまうことがある。
八重山を旅し始めた頃、浮かれていたと思う。
石垣の美崎町で一杯飲んで、いい気分。
夜風に吹かれながら宿まで散歩。。。

ふと、後ろから

「どこから来たの?」
子連れの私と同い年くらいの夫婦だ。

「東京です」

「どうだね、楽しいか?」

「はい、八重山大好きです。」

「何がそんなにいいのかね?」

「綺麗な海や島人も温かいし、散歩したり、本当にいいですね」

「そうか?・・・そんなにいいもんじゃないさ」



一気に酔いが醒めた。

非日常を一時、楽しむ旅行者、それは楽園だろう。
島で島と暮らす、それが何を意味するか。
単なる愚痴とは済ませられない本気がそこにはあった。

f0182432_005496.jpg

Rolleiflex3.5F Planar 波照間島

楽園なんかじゃない。
それは私が八重山を思うとき、どこか心の片隅にある。
[PR]

by jazz_houser | 2009-01-12 00:06 | 石垣島 | Comments(3)
2009年 01月 09日
てぃだぬふぁ
太陽の子。
古来、子供はてぃだ(太陽)から授かると考えられていた。

子供が多いことは、お金があって裕福であることよりも、
家が栄えているとされた。
それは、古き良きヤマトと同じだと思う。

では、その魂はどうだろう。
八重山では祖霊信仰(先祖崇拝)が色濃い。
地域ごとに多少異なるものもあるが、
魂は先祖から受け継ぐものと考えられている。

石垣では、自分の魂の半分は先祖から受け継ぐとか。
歴代の先祖の半分×半分×・・・・
一生の間に、受け継いだ先祖の魂のミックス50%に、
自らの魂の半分を加える。

琉球開闢の地・久高島では、
自分の魂は祖父や祖母から受け継ぐと考えられ、
幼名(わらびなー)はそのおじぃやおばぁと同じ名前をつけたという。
隔世遺伝ではないが、なぜ一つ飛びなのかというと、
一生の間に馴染み深いのが祖父母~孫までの3代であるからと聞くと納得してしまう。

子供が生まれた次の吉日には、てぃだうがみ(太陽拝み)を行った。
日が昇る前に子を胸に抱き庭に出て、東方に向かって座す。
昇ってくる太陽の光を子に拝ませる。
想像してみてほしい・・・とても美しい光景だろう。
アガリ(東)は太陽が昇るから、聖なる方角、
イリ(西)は太陽が没するから、俗なる方角とされた。

波照間島の子供たちも天真爛漫、輝く“てぃだかーぎ”。

f0182432_12502263.jpg

Rolleiflex 3.5F Planar

ムシャーマは旧盆ど真ん中に行われる。
獅子に食べられて、マジムン(悪霊)を追い払うのだ。

f0182432_12504515.jpg

Rolleiflex 3.5F Planar

泣きっ面も元気の証、“てぃだ”である。
[PR]

by jazz_houser | 2009-01-09 12:53 | 波照間島 | Comments(4)
2009年 01月 07日
竜宮神
私は台風に遭ったことがない。
通り過ぎた後だったり、帰京すると台風が追いかけてきたり。
よっぽど晴れ男ということだろうか。

何年か前の夏、大型の台風が八重山地方を通り過ぎた。
島の緑は吹き飛び、所々褐色になっていた。
倉庫の屋根も破れ飛んで、青空が見える。
なんという自然の力。

ニシ浜を歩く。
海沿いのアダンも枝が折れている。
ニシ浜のいつもの木陰も砂で埋まってしまった。
だいぶすっきりしちゃったなぁ・・・
台風が過ぎた後の凪。
大きな雲の影が白い砂の上を移動する。

遠くに何か棒のようなものが砂浜から突き出ていた。
台風直後にはいろいろなものが流れ着くが。。。
近づいてみると、、、

    !

f0182432_12531457.jpg

Rolleiflex 3.5F Planar

竜神がそこにいた。
いや、ここは八重山、竜宮神だ。

太古の昔から、八重山の豊かな海は島人を包んできた。
最初、漁をするのも素潜りで蛸や貝を採るのも、慣れ親しんだブルーグリーンの浅瀬だった。
発達したサンゴ礁棚を海畑(イノー)と呼ぶ。
やがて海人たちが船で未開の外洋(フカ)に出るようになる。
フカは優しいイノーとは異なり、その時々で表情を変える。
海人の命を奪うこともあった。
イノーはこちら側、フカは異界であり、ニライカナイにつながると考えられていた。
そのうち、人智を超えた存在がフカを支配していると信じるようになる。
それが竜宮(=外洋)神である。

高速船で波照間―西表間の2、30分は外洋を航行することになる。
今の時期~3月までは、揺れる船内で竜宮神に祈りを奉げることが必要かもしれない。
いや、祈らずにはいられない。

それから3か月経った初冬、もう海に帰られた後だった。
[PR]

by jazz_houser | 2009-01-07 12:59 | 波照間島 | Comments(6)
2009年 01月 06日
五風十雨
ムシャーマは、名石集落の広場と公民館で行われる。
昔はこの周辺は緑の水田が広がっていた。
川の無い波照間に水田があったのは驚きである。
おじぃの話では、水の持ちがよい土だったからという。

かつては、
ムシャーマ行列はあぜ道を連なり、
茅葺の旧公民館に向かった。

とても貴重な映像がある。



暑いですねぇ、とソファーに座る。
お母さんから、波照間のモチキビでつくったお神酒をいただいた。
さわやかな酸味が乾いた喉を潤す。
「昔はねぇ、、、」
扇風機で涼みながらありがたい昔話をうかがう。
未婚の女性が、米を清めた口で噛み、発酵させたものを神事に使ったそうだ。

おばぁもおじぃも子供の頃のムシャーマを思い出しているのかな。

f0182432_13113816.jpg


五風十雨の旗がたなびく
[PR]

by jazz_houser | 2009-01-06 12:58 | 波照間島 | Comments(2)
2009年 01月 05日
波照間島、ムシャーマ。
朝方降り止んだ空は急速に回復して、
行列が始まる頃には、いつもの強烈な日差しを投げかける。

祭の主となる演目、行列や棒術、舞踊に狂言。
ヤマトや中国(アジア)との文化的な共通性を見るのもいい。
ただ、演技で使われる方言は、島特有の古いものなので、
旅行者にはニュアンスしか分からない。

私は祭そのものにももちろん興味があるが、祭に接している人々に眼がゆく。
また、眼には見えない
「ハレ」の日特有の上気した空気、
神事が行われる時の張りつめた空気も。

舞台袖で、出番を待つ。

f0182432_12542634.jpg

Rolleiflex 3.5F Planar

期待と緊張とが入り混じった空気が私にも入ってくる。
[PR]

by jazz_houser | 2009-01-05 12:55 | 波照間島 | Comments(5)
2009年 01月 02日
世果報
西表島、節、ユークイ。
農業の1サイクルの“節”目を祝い、
来る新年に世果報(ユガフ:すばらしい世界・五穀豊穣)の到来を願う。

スリズにて、ミルク降臨の儀式を終え、一番旗頭から順に集落を行列する。
ニライカナイに帰られるまで=主役は面を取り、解かれるまでミルクで在りつづける。
向かう先は、節の舞台、前泊浜。
※ニラーハラー、神道でいう根の国、私個人は単なる“楽園”ではないと思っている

私もここからが本番だ。

一番旗頭とミルク行列が浜に入場してくる。
ゆっくりゆっくりと歩み、その所作は流れ続ける。
方言や伝承が各々独自なように、ミルクの面も島や集落ごとに表情が異なる。
ニライカナイから吹く風が旗を揺らす。
一度立てた旗頭を決して倒してはならない。

f0182432_1754548.jpg

Hasselblad 2000FCW & Sonnar Superachromat 250mm

ヤフヌテイ(櫓を使った演舞)などの奉納芸能を終えた後、
ついに節のクライマックスがやってくる。
二艘の船が前泊浜の目の前にある小島、まるま盆山を目指す。
船くい(船漕ぎ)で世果報を運んでくるのだ。
名誉な船頭の一人は歴史を熾すで旗頭に登っている方だ。

f0182432_1756813.jpg

Hasselblad 2000FCW & Sonnar Superachromat 250mm

船くいの最中、浜ではアンガーたちが手招きする。
船が沈没したりしないか気が気でない。思わず手招きを忘れ、背伸びしてしまう。
愛する人が漕いでいるのだろうか。

f0182432_17562147.jpg

Hasselblad 2000FCW & Sonnar Superachromat 250mm

雲間から天使の梯子が水面に伸び、世果報雨(ユガフアミ)が訪れた。
辺りは神聖な、それでいてめでたい空気に包まれる。
雨の中、アンガーや漕ぎ手たちは歓喜のガーリーを踊る。
今まさに世果報がやってきたのだ。

f0182432_17565335.jpg

Hasselblad 2000FCW & Sonnar Superachromat 250mm

新年、八重山にも大和の皆様のもとにも、世果報が訪れるはずです。


~たまには撮影舞台裏~
今まで、すべての撮影を二眼レフで行ってきましたが、節祭は近寄れないため、一眼レフと望遠レンズにて撮影しました。
お察しのとおり、いつも“向こう側”につながるカットは赤外フィルム(Konica Infrared750)で撮影しています。
二眼レフでは可視光と赤外光の波長の違いによるピントのズレを補正する赤外用レンズ
(フィルムの赤外波長感光域およびピークによるため、すべてのケースで有効ではない)
を使用しているためピントについては近接・開放でも問題になりません。
ちなみにPlanar、Xenotar、Distagonで赤外線透過率は違うように感じます。

しかし、一般の望遠レンズではそうはいきません。
地形と撮影地点も含め、可視光から赤外光までが一点に収斂されるレンズ、Sonnar Superachromatを使用することに決めました。
Konica Infrared750の赤外感光波長域は400nm520nm640nm820nmです
520nm640nmには全く感光しないように設計されている)。
※人間の眼は標準比視感度曲線で見ると、400nm700nmあたりまで見ることができる。最も感度の高い黄緑(555nm)を1とする。

肉眼で動くものを撮影するには少しでも薄い色のフィルター(露出倍数の少ない・フォーカスしやすいもの)がよいため、
YA3(530nm以下を完全カットする)を使用しました。
そのため、いわゆる赤外特有のウッド効果は弱いですが、肉眼では見えない世界が垣間見えるはずです。
フィルムは低感度で、理想的な条件でも日中1/250・F5.6が上限です。
ごくわずかなブレが目立つため、今回のみ三脚・雲台も見直しました。
それでも被写体ブレは防げませんが(^^;

こうまでして撮りたかったものは一体何なのか?
それはぜひ、個展でお確かめください。
[PR]

by jazz_houser | 2009-01-02 18:10 | 西表島 | Comments(8)
2009年 01月 01日
bloom
この日も太陽光線が真上から降り注ぐ、暑い暑い日だった。
波照間島の一周道路をゆく。
いつものように右回りか左回りかは気分次第。
あたりには自転車を漕ぐ音が響く。

ギッコ、ギッコ、ギッコ、ギッコ、、、カラカラカラー

なんとなく海側へ降りる道に惹かれ、脇道に入る。
早く日陰に入りたいが、こういう感覚は大事にしないと。
やがて工場が見えてくる。
朽ちたトラックに眼がゆく。

降りてみよう

・・・昭和58年度 さとうきび経営複合・・・

今では波照間のさとうきびは日本一となった。
このトラックも役目を終え、土に還るんだな。。。



f0182432_15222116.jpg


Wide Angle Rolleiflex & Rolleinar2

朽ちて開いた穴から、少しでも太陽を浴びたいと、顔を出す。
廃車の鉄分さえも明日への糧にする。
こんなふうに強く、ありたいなぁと思う。


昨年は今までやってきたことが、かたちになってきた一年でした。
新宿ニコンサロンの個展まで、あと2ヶ月を切りました。
見に来ていただける方の心に、少しでも残るような写真展に仕上げたいと思い、日々もがいています。
このブログを見ていただいている皆様、昨年同様、歩みは遅いですが、
何卒本年もよろしくお願いします。

矢口清貴
[PR]

by jazz_houser | 2009-01-01 15:25 | 波照間島 | Comments(12)