カテゴリ:黒島( 7 )

2008年 12月 13日
時間と空間
島には南国特有の時間が流れ、
みーんなマイペースに過ごしている。
なので、約束の時間に遅れても、「だからよー」
・・・皆がそんなことはない。

私が出会った人たちは、意外にも時間に正確な方が多かった。
日が昇るより早く起き、日の出とともにトラクターに乗って、自分のキビ畑へ。
公民館からはお昼と夕方決まったメロディーが流れる。

以前、島のお年寄りに誘われてゲートボールをやったことがある。
生まれて初めてということもあり、思いのほか楽しかった。
用事があったため、○時に戻ると言ってそこを離れた。
しかし、用事が押して、○時40分ほどに戻ると、
皆から口々に遅い!と怒られたこともある。
※こういう性格のようなものは、島によってだいぶ異なると思う。
沖縄本島・宮古島・石垣島・与那国島と各々違うのではないか。
なので一概に“沖縄は・・・”などとは言えない。

いわゆる島時間というのは、雰囲気のようなものではないかと思う。

島の距離感もおもしろい。
中心部の集落から海に近い集落まで、自転車でのんびり10分もかからない。
距離にして1.2kmくらいか。
それが島の人には驚くほど“遠い”と感じているようなのだ。
昔徒歩で小学校に通うのも、遠出といった感覚だったとか。
今も、たった歩いて20分くらいの距離を、
「離れているからね、○○部落の××には会ってないなぁ。元気か?」なんて言う。

自分にとって当り前と感じることが相手に通用しないと、変わっていると思う。
でも、実は私の方がよっぽど変わり者なのだ。
そういった島ごとの違いを感じてみるのも、八重山あまくまの楽しみの一つ。


夏の暑い日、太陽が天球の高い位置にある。
風も無く、時間の流れが極端に遅い。
汗が流れなければ、このまま時間は停止してしまうのではないか。

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Wide Angle Rolleiflex Distagon55mm

何年もこのままの姿で在る空間に、一筋の光。
日時計だけが時間を規定する。
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by jazz_houser | 2008-12-13 15:49 | 黒島 | Comments(0)
2008年 11月 28日
中心
八重山の行政区分には石垣市・竹富町・与那国町の3つがある。
石垣市に48,000人、竹富町に4,000人、与那国町に2,000人の人が住んでいる。
実際は住民票を移さない人も多いので、石垣市の人口は統計よりも5・6千人多いそうだ。

石垣市は一島一市、与那国町も一島一町。
しかし竹富町は七島一町。
この区分は大正時代の竹富村を引き継いでいるが、
現在の竹富町役場は石垣市美崎町にある。
石垣島に行政も人も一極集中する。

西石礁湖に浮かぶハート型の黒島には200人が暮らす。
今ではひっそりとした集落を歩く。
珊瑚質の道の両側には、おなじみの石灰岩を積んだ石垣が連なる。

八重山ではコンクリート製陸屋根の家が多くなった。
伝統的な家屋の外見的特徴は、石垣が敷地を囲み、
正面にはヒンプン(魔除け・目隠し用の壁)、寄棟の赤瓦といったところ。

島一番の集落、東筋(あがりすじ※)。
なんとなく右に折れて、細い筋に入ってみる。
おっ・・・すっと背筋を伸ばしてしゃがみ込む。
スリムな主が視線を逸らさずこちらに向かってくる。

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Wide Angle Rolleiflex

野性的な顔立ちの曲った尻尾の先には、
引き払われて石垣だけになった街景が広がる。

※八重山では太陽が昇る東を“アガリ”、沈む西を“イリ”と呼ぶ
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by jazz_houser | 2008-11-28 13:43 | 黒島 | Comments(4)
2008年 11月 10日
シーシー
八重山の夏の風物詩、ピークと言っても良いだろうか。
それはソーロン(旧盆)だ。

商店には旧盆前、お供えものやご馳走の類が並び、
お買い物に勤しむお母さん、おばぁでごった返す。

今年の場合、ソーロンは、8/13、14、15。
それぞれ、ウンケー(迎え)、ナカヌヒ(中日)、ウークイ(送り)と呼ばれる。
詳しくはまた。

その3日間のソーロンの翌日、イタシキバラという行事が行われる。
先祖がグソー(あの世)から帰ってくる、歓待し、それをまた送るというのが旧盆だが、
旧盆を終えてもまだ集落に残っている悪い霊、迷っている霊を獅子舞で払うのがイタシキバラだ。
獅子舞は八重山どこでもポピュラーで、色々なシーンで行われる。
黒島では先導役?がマタドールのようにひらりと舞う。

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Wide Angle Rolleiflex & PE-28S
集落を清め、人々の無病息災を祈る。
島酒を飲んで、ワー!!キャー!!!と叫びながら、
時には獅子に頭を喰われながら、、、
なんとも愉快に厄を落とす。
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by jazz_houser | 2008-11-10 02:03 | 黒島 | Comments(0)
2008年 10月 22日
御獄の道
黒島の砂利道をゆく。
太陽の鋭い光線を腕に受けながら自転車をこぐ。
一時前の通り雨で、地面からもわっと湿気が上がってくる。
挟み撃ちだ・・・

石垣や西表を除いて、
他の八重山の島には高木が少ない。

やっと木陰を見つけて、一息いれよう。
こんもりとした森の中で自転車を降りる。

その瞬間、皮膚が粟立つような感覚が走る。
周りを見渡して、全身の神経を澄ませると、
なぜだかここだけ空気の密度が濃い。

やがて森の命、木々や雑草、蝶にいたるまで、
生命が湧き立ってくるのが分かる。

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クワズイモがにょきっと存在を誇示する。
今にも私を叩いてきそうだ。
御獄とはそういう気配が満ちるところ。

黒島 北神山御獄

Wide Angle Roleiflex Distagon 55mm
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by jazz_houser | 2008-10-22 00:42 | 黒島 | Comments(0)
2008年 10月 08日
竜宮城
私は水中写真は撮れない。
暑くなったら、カメラを置いて、ザブンと素潜りする。
八重山の島々のほとんどは発達したリーフを持ち、
リーフエッジまでは遠浅になっている。
遠浅のサンゴ礁の終わり、
7・8mの崖には怖いくらい大きな魚が、悠々と泳ぐ。

体一つで緑の海に漂っていると、
ふと生理的に怖いと感じる時がある。
それは私という1個の生命体が、無数の生命体に包まれる―
埋もれるような感じ。

そのうち、受け入れることで、自分の体が水に溶けていくような気がする。
ゴボゴボ・ポコポコという空気と水が触れ合う音とともに。

黒島には仲本海岸というリーフの発達した場所がある。
海水浴場ではないが、潮が干いた時に大きなタイドプール(潮溜り)ができる。
カラフルな魚と珊瑚があたかも竜宮城のよう。

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カクレクマノミが子供を守っている。
私がいたずらに人差し指を近づけると、
ツン・ツンとかなり強く口で攻撃してくる。
かわいいが、真剣な親の行動だ。
豊かな海。

私は40年以上前のローライフレックスというカメラで写真を撮っている。
接写レンズを使って、水面20cm まで寄ったが、怖かった(^^;
なにせこのカメラ隙間だらけの金属カメラなので・・・
Wide Angle Rolleiflex & Rolleinar2

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by jazz_houser | 2008-10-08 18:05 | 黒島 | Comments(5)
2008年 09月 25日
牛の島
八重山では肉牛の生産が盛んで、石垣牛というブランドも育っている。
とりわけ黒島は牛の島と言われる。
今では人間の10倍もの牛がいるが、
元来、珊瑚による土壌は作物を育てるのには適さない土地だった。

石灰質の岩盤には保水力がなく、
司が雨願い(アミニゲー)をしても叶わず、
1960年代には旱魃と飢饉に襲われ、多くの人が亡くなった。
やっと1970年代には西表島より海底送水が始まり、それが解消する。
時を同じくして、土質改良事業(重機による岩盤破砕)が行われ、
黒島を牧草の生える地へと変えていった。

島の道を自転車で走る。
誰にも会わないので、「モ゛ー!!!」と叫んでみる。
するとたまに「モーォ」と返してくる。
今では北海道か!?と思うくらい放牧地になったハートアイランド、黒島。

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バッタも牧草ロールの中を食べたいのかな。
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by jazz_houser | 2008-09-25 23:06 | 黒島 | Comments(0)
2008年 09月 16日
嵐の前
先週から今週にかけて台風13号が先島諸島を襲っている。
波照間島・与那国島・西表島ではかなりの被害が出ているようだ。
島の生命線は船。
台風が来ると、4、5日欠航が続く。
共同売店には商品がなくなり、通信手段も限られてくる。
今回の台風は速度が遅く、最悪の進路を辿ってしまった。
現地の方々の無事を東京から祈っています。

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黒島の伊古桟橋は古くから黒島と他の島を結ぶ大事な場所だったそうです。
今では崩落が進み、先端まで行くのは一苦労。
4年前のこの日は、『これからまさに台風が来る』襲来2日前でした。
成長しきった台風から吐き出されるうねりを避けながら、
高速船あんえい丸は石垣の旧離島桟橋まで戻った記憶があります。

風に吹かれて桟橋を進んでくる姿は、スローモーションに見え、儚かった。
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by jazz_houser | 2008-09-16 22:55 | 黒島 | Comments(0)