めったに夢を見ることがない。
日常が夢の中だからか、それとも覚えていないだけなのか。
たった一度だけ八重山で夢を見たことがある。
気がつくと眩い光の中にいて、地面から靄が立ち上る。
夏の真昼間だろうか。
駐車場なのか、地面から壁まで石灰色。
多分熱いのだろうが、砂利の上を裸足で彷徨う。
何かをくぐったら、暗くてひんやりとした岩の中。
先の方から光が漏れる。
光に向かって這っていき、また光の中に出た。
すると目が覚めて、辺りは真っ暗。
真夜中。
飲み過ぎて喉が渇いていたのだろうか。
・・・なんだかよく分からない夢。
それからしばらくして八重山を離れる日。
旧離島桟橋に波照間から2便で着いた。
撮りかけのフィルムがあったので、飛行機までぶらぶらすることにした。
炎天下美崎町を歩くと、飲み屋の前に空き地があった。
Rolleiflex 3.5F Planar
また歩き出す。
飲み屋が犇めき合う薄暗い路地を行く。
そのときハッとして喉の奥が渇く。
もしかしてこれを見ていたのか?
ファインダーを立てて構えると、向こうから小人が。
Rolleiflex 3.5F Planar
黒猫か。
マブイは寝ている間に、主の身体を離れることもあるという。